先日yahooニュースの記事を見ました。
円形脱毛症は日本国内で20万人くらいいると考えられているようです。
“「女性にとって髪とは何か知りたい」という思いが膨らんでいく。大学院に進み、女性の髪について日仏文化を比較しながら研究するが、調べれば調べるほど「女性にとって髪はいのち」と結論が出てしまう。髪がない吉村さんは苦しくなった”
“障害学では、個人の身体的欠損や異常そのものが「障害」なのではなく、個人が社会とつながろうとするときに生じる問題や生きづらさを「障害」ととらえる。”
“「障害学の視点を通してみると、脱毛症女性の生きづらさは、髪がないことそのものが原因にはなりません。それは、女性に髪がないことを問題視して、隠したほうがいいと要請してくる社会のなかで生じているんです」”
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特に日本という国では、様々な見た目や考え方の人がいることに対して慣れがないように思えます。
肌、体型、服装、髪質、、
スタンスやライフスタイルや恋愛対象。
生きてる物はさまざまな色や形の人がいるほうが当たり前なのに、自分の中の当たり前や普通や理想を相手にも押し付けるのは間違いですよね。
もちろん相手の見た目や趣味趣向や生き方に対して、主観的に好みはあるだろうけど、偏見を持つことや問題視する必要はない。
それを含め全てが[個性]なんだから、それを認めた世の中こそが、1番皆が自分らしく生きやすい世界ですよね。
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とはいえ、現時点ではまだこの国はそんな生きやすい社会ではない。
じっさいに、全体の中で数が少ないものが目を引くのは事実。
当事者もみんなコンプレックスをすぐに受け入れられる人ばかりではない。
だから苦しむ人がいるのなら、相手の”なりたい”を叶える事を生業にしている僕ら美容師には、最低限の知識を持つ事は必要な事ですよね。
今までも色々な脱毛症をそれなりに勉強してきましたが、この記事を読んで、できるだけ深く調べてみようと思い、図書館で本をあさりました。
ネット上の情報は、すぐ書き換えられるぶん不確かなものも多いので、こういう時は本か専門家に尋ねるのが1番ですね。
円形脱毛症とは
十円玉くらいの大きさで脱毛する単発型。これが9割です。
それが数カ所できる多発型。
繋がってできる蛇行型。
進行すると全頭型。
体毛全て抜ける汎発型。
基本的にストレスによるものは放っておいても自然治癒しますが、まれに治療が必要な場合があります。
まずは身近な皮膚科専門医にご相談を。
原因
自己免疫疾患。
遺伝的なもの、内分泌異常、アレルギーなど様々な要因があり、まだまだ解明されていない部分が多い。
円形脱毛症=ストレスに弱い人、というわけではありません。
*自己免疫疾患とは
外からの侵入物を攻撃するための免疫機能に異常が生じて、自分の体の一部分を異物とみなすこと。
この場合はそれが毛根ということになります。
治療法
- ステロイド剤内服
- 静脈注射
- 紫外線治療
- 局所免疫療法
などがあり、中でも局所免疫療法は、弱い皮膚炎を起こすことにより発毛させる方法で、有効率は90%以上だが保険適用外。
15才以下で円形脱毛が占める割合は25%ほど。
子供の場合はステロイドや紫外線治療は使用すべきではないもされていて、これも局所免疫療法が中心。
原因が遺伝子変異によるものは現在治療法は研究中。
まとめ
基本的には1〜2ヶ月、箇所が広がらないか様子見し、広がったり3ヶ月経っても生えてくる気配がなければ皮膚科専門医を受診してください。
ただ、発見したらすぐに相談するのも、安心を貰いに行くという観点で大事なことだと思います。
美容室でのメニューはカラーやパーマは施術を控えるか、または該当箇所付近に薬剤が付かないような施術の仕方をしてもらうよう相談してください。
注意点
美容関連の育毛治療(市販の育毛剤や漢方など)に頼らずに専門医に相談してください。
余談になりますが、女性にも男性型脱毛症は増加しています。
外用薬や内服や鍼灸など、様々な治療法も進んでいます。
ただ女性はプロペシアは絶対に使用しないでください。
参考文献
ヒューマンライツ 2017.2月号
Derma 2017.1
皮膚科の臨床 2016.12
中医臨床 2017.6
福島医学雑誌 2016.12
週刊朝日 2014.2