職人と商人

僕が勝手に師と仰いでいる先輩美容室オーナーの言葉。

「美容師って好きじゃないとできないよね。
って言われるのが嫌い」

その言葉の奥には、”きつくて安いから好きじゃないと続かないよね”があるからだという。

だからその先輩はスタッフに対して、練習や勉強がきついのはお客様に満足してもらうために仕方ないけど、お金はしっかり出す。
といって月の給料もアシスタントもスタイリストも手厚く、衣服手当てやボーナスも出しています。

ほんとにそう思う。

きついのはいい。
それを覚悟で入ってきたこの業界。

しかも東京でやってる人は、
競争の激化している中で磨かれたいと思って、みんな初めは東京に出てきたはずだけど、

慣れてくるとその環境でどう無難にまとまるかを考えがち。
そうなると、ついてくるものは、
“安い”だ。

……

最近また、講習によく行きます。

今回は、縮毛矯正やストカールの匠が九州から東京に来てくれました。

(写真は結構みんな帰ったあとに撮りました)

受講費が高めで必要な道具も高めにも関わらず、原宿に30人くらいの美容師さんが集まりました。
年上の方が多く、いつまでも技術の向上を忘れない姿に胸が熱くなりました。

皆気持ちは一つで、
もっと上手くなりたい。
そんな想いが溢れんばかり。

この方たちは、敵じゃない。
共に上を目指す同志だと思った。

次の日、矯正の予約が入った。

新しく取り入れた考えや技術で、速さもクオリティも、すぐに上手くなってた。

やはり自分だけでの研究とか、自店の中だけでの高め合いだけではガラパゴス化しやすいので注意しなければいけない、そう思いました。

しかしこのように技術を高めるだけでは価値を多くの人に届けられません。
大事なのは、職人と商人の気質のバランス。

お金や時間を正しく自己投資しなければ職人としては上に行けない。
それを上手に発信し、価値を届けなければ商売としてはなりたたない。
どちらかだけでは理想は叶えられない。

刀をつくる職人になるのか、
普通のナイフを上手に売る商人になるのか。

1番いいのは、よく切れる刀を上手にたくさん売る、工夫と努力のできる人になることですよね。

頑張れば結果になる。

美容師は好きじゃないとできない。
それは半分正解で、半分間違いだ。

ABOUTこの記事をかいた人

【縮毛矯正にデザインを】 美容師歴17年。フリーランスとして独立後5年後、表参道青山にてceeを出店。 クセ毛、直毛、多毛、傷みやすい髪など、 髪に悩みのある方に特に支持を頂いています。 ショートヘアのカットもおまかせください。