土曜日の朝。
小、中学校の同級生が髪を切りに来てくれた。
彼はあの頃のすらっとしていた面影はなく、全身にとても大きな筋肉を身にまとっていた。
職業を聞くと消防の仕事だという。
普段出動することってあるの?
と聞くと、とても頻繁にあると教えてくれた。
なぜなら、消防士は、救急隊員としても活躍しているからだ。
僕は恥ずかしながら、そんな事さえ知らなかった。
彼の頭を刈り上げながら色々な話をした。
楽しい時間だった。
とても大きな体をした彼は、とても優しい雰囲気をまとっていた。
そんな彼を送り出す時、
1つの事を思い出した。
(そういえば、昔救急車に乗ったことあったな、、)
19歳くらいの頃、バイクで車と事故をした。
衝突した瞬間僕の体は放り投げられ、頭から地面に叩きつけられ、ヘルメットは真っ二つになった。
しかし、全身に軽い打撲のような状態こそあったが、立ち上がれたし歩けた。
ヘルメットがなかったらと考えるとぞっとした。
誰かが救急車を呼んでくれたみたいで、
運ばれる事になった。
救急車に乗ることなどもちろん初めてで、ぼくはとても緊張していた。
すると突然、おならがしたくなった。
いつもなら上手にやり過ごせるのだが、少しだけ体がうまく言うことを聞きそうにない。
ここは密室で、僕はモラルのある人間だ。
ぼくは救急隊員の方に、
すみません、おならをしてもいいですか?と聞いた。
彼は優しく、
「どうぞしてください。
こういう時は、力が抜けて、したくなるもんなんですよ」
とぼくに言ってくれた。
ぼくは体を自然にまかせた。
ぷぅ、と高音のおならが出た。
みんな笑ってくれた。
そして病院につくととても優しく車椅子に乗せてくれて、押していってくれた。
僕はとても恐縮していた。
普段こんなに人に体のお世話になることなどないからだ。
そんな僕にずっと優しい言葉をかけてくれていた。
頼れる人の「大丈夫」ほど、強い力を持った言葉はないと気づかせてくれた。
医務室まで車椅子を押してもらい、
満身創痍な雰囲気で運ばれたぼくはレントゲンなどの診断の結果、ヒザに赤チンを塗って終わりだった(*´∀`*)
、、、
同級生の彼はあの時の隊員さんと同じように、強い体と優しい心をかねそなえた頼もしい雰囲気を持つ男だった。
彼も同じように、日々誰かに感動を与えているのだろう。
なんだか朝から、嬉しくなった。