友人の結婚式があったので、そのタイミングで帰省しました。
行きの新幹線の隣の席には、ゆるくまとめ上げた黒髪を下の方で束ねた、おそらく50代くらいの女性がいた。その奥に僕は座った。
人を覚える時にまず髪で覚えるのは僕の職業病だ。
しばらくすると隣の女性は、見知らぬ僕にサンドイッチをくれた。
お腹がすいていなかったが、好意は有り難くいただくのが人の道なので、もらった。
若いからいっぱい食べてと、
もひとつもらった。
その女性はくったくのない笑顔で、とても優しい目をしていた。
静岡で降りていった。静岡の人はいい人が多いな。やはり岡がつくものに悪いモノはないなと、自らに都合のいい解釈をした。
さて、僕の両親は来年70歳になります。
会うたびに、どんどん小さくなっていく気がする。
日本人の平均寿命は女性が86で男性が80です。平均は平均なので、(こんな事を言うと怒られそうだが)うちの親だって、もしかしたら80くらいで死んでしまうかもしれない。
そう考えると、年に2回しか帰省しない僕は、あと10年で20回。20回しか親に会わないことになるから意外と少ない。
年1の人なんかはその半分だ。
やや強引な考えかもしれないが、具体的に考えた方が実感がわく。
振り返ると、帰省しても友人と時間を過ごすばかりで、親との時間を大事にしてこなかったので、これからは少しずつなにかしていこう。
何度も言うけど、ぼくは母の髪を切った事がない。
このタイミングで今度こそ。
春だし、切りたいに違いない!
普段は連絡しないのだけど、帰る3週間くらい前にメールしてみた。
うん!!!
やっぱりカットはいらないみたい!!
(前回のアプローチ)
しかしまた食い気味で白髪染めは欲しがる。
染めてあげました。喜んでおりました。
その晩は、家族での寿司はいつもはスシローだけど、初めて回らない寿司に行きました。
とてもおいしかった。遠慮なくいろいろ食べたけど、とり貝とホタルイカがいちばん美味しいと言った僕は、一瞬自分が”通”だと勘違いした。
、、、
3日間の帰省も終盤にさしかかると、
(毎回そうだが)母は僕に、食べ物など何かを持って帰らせようとする。
常に身軽でいたくて、荷物を増やすのが極端に嫌いな僕は、毎回それを迷惑がる。
ただ今回は、「明太子いるか?」
と言われたので、それなら、と思うと、
これが出てきた。
好意は有り難くいただくのが人の道だが、
ここは丁重にお断りした。
そうして僕はまた身軽な状態で、実家を後にした。